ときどきだが、「あなたのこと知ってます」または「あなたのこと知っているはずなんだけど」または「あなたのこと知っているような気がする」という顔でこっちを見る女がいる。今日も東京出張の新幹線に乗るために新神戸駅に行ったときにいた。 細身で身長153センチ、紺色のワンピースを着て、肩よりやや長い髪の一部を結わえて両側から後ろに回しクリップでまとめている。面長の顔はナチュラルメイクで、右頬の顎に近いところにいぼ状の粒があったから30歳から35歳の間だろう。親しみやすい中の上の顔である。つまり男に好かれる顔だ。 そんな顔で「あなたのことを知ってます」風の表情でこっちの顔を見てくる。一回ならいいが、何回もとなるとこっちは「ほんとに知ってますか」と問いたくなる。 改札を抜けるとき、わざわざその女の後ろからそれもかなり近くで続いたのに、知らんぷり。ほんとは知らないのなら最初からそんな目で見るなといいたくなる女である。