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執筆者の写真作家 龍村暁

私はつまらない女

更新日:2022年6月10日

と言わんばかりに電車の中でショボンと立っている。50代半ば、身長150センチ、黒く染めたショートカットにノーメイクの顔。いつも地味なジャンパーにジーンズ姿。なで肩なのか、姿勢が悪いせいなのか、見事なショボン姿である。


それだけならいいが、動作までショボンとしているから困りものだ。


電車がホームに入る。ドアが開く。並んでいた通勤客がいそいそと乗り込む。客車の奥のスペースを見つけて人のすき間をすり抜ける。すり抜けながらカバンや体がぶつかる。この一連の動作ができないのだ。


乗り込むときいそいそと足が動かない。客車内のスペースを見つける気がない。だから人と人のすき間をすり抜けることもない。当然、カバンや体の衝突もない。


何をしているかというと、ドアの前でショボンと立ち止まっているのだ。


おいおい、もっと前に進んでくれないと後ろのみんなが乗れないじゃないか。電車が発車してしまうじゃないか。


私はつまらない女だから、人様のカバンや体にぶつかるわけにはいきません。こうしてショボンと立っているぐらいしか許されません。とでも言いたげに見えてしまう。


なんとも低姿勢な生き方である。その低姿勢が他人の迷惑になることもあると気づいて欲しい。


世の中、いくら低姿勢に生きても誰もほめないし、助けてもくれない。自分が損するだけである。やりたいようにやって迷惑をかける方が、やりたいことをやらずに結局、迷惑をかけてしまうより随分ましではないか。


もっと自分をさらけ出し、ショボンじゃなくてシャンとした姿勢で生きていって欲しい。




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